兄貴がミカエルになるとき
「君って僕の好きなモデルによく似てるんだ。

サイズも多分同じ。僕さあ、モデルの体を見慣れているから、服の上からでもだいたいサイズがわかっちゃうんだよね」

服の受けからでも体がわかる……このセリフ、どこかで聞いた。そうだリチャードだ。

でもリチャードはいい年のおっさんだからいいとして、高校生が服の上から女性のサイズを測れるのは問題だ。

私は腕組をして体をすぼめながら反論した。

「モデルなわけないでしょ! 一反木綿とか言われて笑われてる私が!」

「いったんもめん? 何それ?」

そうか、水木先生もしくはゲゲゲファン、もしくは鳥取県民でなければ『一反木綿』というレトロなお化けを知らないか。

「薄っぺらくて、ふわふわ飛び回るでかい木綿のおばけよ!」

それでも水木ファンの私としては、一応一反木綿の説明を試みる。

ゲゲゲの鬼太郎ファンの自分としては、『一反木綿』というからかわれ方には大して傷つかない。

「木綿か。そう言われれば君って、木綿が舞っているような雰囲気あるもんな」

しかし彼は今度はそんなクラっとするような勘違いなことを言って私を見つめた。
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