兄貴がミカエルになるとき
最初は『お手並み拝見ね』と、アキの様子を見ていたティムの目が途中から変わった。

ヘアメイクも『イメージを変えるときには教えて。メークもちゃんと変えよう。きっとすごいことになる』と、興奮ぎみに囁いてきた。

そして若いスタイリストは、ただただ彼女を見つめてうっとりしていた。

アキがみんなを吸い込んでいく。みんながアキに吸い込まれていく。そんな空間だった。

僕は夢中でシャッターを切った。

そしてラストショット―――。

最後に、『今、君が一番守りたいものを想ってみてくれ』とリクエストすると、アキは一瞬首をかしげて、それから空を見上げた。
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