兄貴がミカエルになるとき
ガツン!

頭に石が当たったような、いや、胸の中に重いサッカーボールをドスンと打ち込まれたかのような衝撃だった。

さっきまでいい友達だったはずなのに。

初めての友チョコだったのに。

教室に入れないまま立ちすくんでいると力が抜けて、腕に抱えていた本を落としてしまった。

ハードカバー2冊分の重量が床と衝突し、ダン!と大きな音を響かせた。

2人が私を振り返る。

「あら、やだあ。聞かれちゃったかしら。真田ったらひどいわよねえ、せっかく希沙良さんがチョコをあげたのに、でかすぎて女じゃないなんて」

リカコが真田と私を見比べてニヤニヤ笑っている。

私は落とした本を拾って真田の元に歩いて行った。

「真田のこと、友達だと思っていたけどそうじゃなかったみたいだから、返して」

すごく腹立たしいのに、自分でも情けないほどぼそぼそした声しか出ない。

「返して」

真田はリカコと私の前で明らかに動揺していたがと、もう一度そう言って手を差し出すと、机の上に置いた黒い学生カバンから、チョコの袋をゆっくり取り出した。

これまで見たことのない、しょげた顔だったけど、でも許せなかった。

でかすぎて女じゃない、はいくら友達だとしても言いすぎだ。

いや、友達なら言わないで欲しかった。

意気地なし。

< 24 / 307 >

この作品をシェア

pagetop