兄貴がミカエルになるとき
「そうだ、咲季に渡すもんがある」

そう言ってトオ兄はクローゼットの中から小さいバッグを取り出してきた。

「やるよ」

受け取ったバッグの中には白い箱が入っていた。

箱を取り出し蓋を開けると、中にはピンクやグリーンのカラフルな可愛らしいお菓子が並んでいた。

私が大好きなマカロンだ。

「アメリカだとバレンタインデーは男も女性にプレゼントする日なんだよ。
そこのマカロンはすごく美味しいらしい」

「らしい?」

「ママが言ってた」

「なんだ、じゃあママが催促したんだ」

「いや、催促じゃなくてアドバイスだな。チョコじゃなくてマカロンにしろって」

「アドバイスじゃなくて命令だね」

淡いピンクのマカロンをひとつ取り出して、一口齧ってみた。

かさりとした感触と一緒に、口の中いっぱいにアーモンドの香りが広がって、それからクリームのなめらかでゆったりとした甘さが追いかけてきた。

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