兄貴がミカエルになるとき
「美味しい」

「そうか、よかった」

「ひとつあげる」

トオ兄がサクッと乾いた音をさせてペパーミントグリーンのマカロンを齧った。

「トオ兄、似合うね」

「何が?」

「ペパーミントグリーンのマカロンが」

「咲季も、そのローズピンクのマカロンがぴったりだ」

「似合わないよ」

「似合うよ」

「今日、チョコを渡した男子から、私みたいにでかいのは女じゃないって言われた。
そんな女子にピンクが似合うわけないじゃない」

「似合うよ。それも、ものすごく。こんなに山ほどチョコをもらった俺が言うんだ、間違いない。そいつさ、本気で言ったわけじゃないと思うよ。今頃そんなこと言って後悔してるさ。もし本気で言ったとしたら、そいつはただのアホ野郎だな」

トオ兄の言葉が、マカロンよりも優しい甘さで広がっていく。

さくり。

また綺麗な音がした。

「うまいな、これ。ママが言う通り、ここのマカロンはむちゃくちゃうまい」
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