兄貴がミカエルになるとき
第6章

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日本での撮影を密やかに粛々とこなし、リチャードやティムさんたち一行が日本を去って静かになった後には、期末試験が控えていた。

三品君のような余裕はないので、試験までの2週間、読書もDVD鑑賞も絶って真面目に勉強し、とりあえず順調に期末テストを乗り越えた。

試験の間、三品君から毎日「本日のできは?」という短いメールが入り、それに対して「まあまあ」とか「ちょっときつかった」という、やはり短い返事を返した。

テスト終了日前には「明日、サンマルクらない?」というメールが届いた。

「女子会のため、またの機会に」と返したら、「了解。じゃあ明後日は?」とまたすぐに返信が来た。

でも明後日はポージングのレッスンが入っている。

勤労女子高生はなかなか忙しいのだ。
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