兄貴がミカエルになるとき
「誘ってくれる? どこに? 何に?」
ママではなく今度はトオ兄がフックしてしまった。
このシチュエーション、まるでデ・ジャブのよう……ああ、そうか。この展開はリチャードとティムさんがうちに来た時と全く同じだ。
「映画とか、別荘とかプラネタリウムとか」
「別荘? いつの間にそんなに仲が良くなったんだ」と、トオ兄が不機嫌に言う。
「怒らないでよ。それほど仲良くないのにいろいろ誘ってくるから不思議なんだよ」
「怒ってはいない。で、行くのか、いやもう行ったのか?」
口調は明らかに怒っている。
「どこに?」
「だから映画とかプラネタリウムとか、別荘とか、いや別荘は絶対にダメだな。もし別荘に行きたいというなら俺も保護者として同行する」
「まだどこにも行っていないけど、なんで保護者同伴なのか、意味わからない」
そんな私たちの様子をおかしそうに眺めていたママが、機内から飲み続けているワインとビールでほろ酔いになった勢いで、「トオルったら、そんなにムキになっちゃって。咲季のこと、本当に好きなのねえ。それってさあ、妹だから? それとも一人の女の子としてかしら」と突っ込んでくる。
私はギョッとし、パパは静観を装い、そしてトオ兄は少し考えてから真面目にその質問に答えようとしている。
いいから、まじめに考えなくていいからと念じたけどダメだった。
ママではなく今度はトオ兄がフックしてしまった。
このシチュエーション、まるでデ・ジャブのよう……ああ、そうか。この展開はリチャードとティムさんがうちに来た時と全く同じだ。
「映画とか、別荘とかプラネタリウムとか」
「別荘? いつの間にそんなに仲が良くなったんだ」と、トオ兄が不機嫌に言う。
「怒らないでよ。それほど仲良くないのにいろいろ誘ってくるから不思議なんだよ」
「怒ってはいない。で、行くのか、いやもう行ったのか?」
口調は明らかに怒っている。
「どこに?」
「だから映画とかプラネタリウムとか、別荘とか、いや別荘は絶対にダメだな。もし別荘に行きたいというなら俺も保護者として同行する」
「まだどこにも行っていないけど、なんで保護者同伴なのか、意味わからない」
そんな私たちの様子をおかしそうに眺めていたママが、機内から飲み続けているワインとビールでほろ酔いになった勢いで、「トオルったら、そんなにムキになっちゃって。咲季のこと、本当に好きなのねえ。それってさあ、妹だから? それとも一人の女の子としてかしら」と突っ込んでくる。
私はギョッとし、パパは静観を装い、そしてトオ兄は少し考えてから真面目にその質問に答えようとしている。
いいから、まじめに考えなくていいからと念じたけどダメだった。