兄貴がミカエルになるとき
私は音楽のリズムに合わせて適当なダンスをしながら、エセモデルウォークを披露した。

何かの遊びと勘違いしたモンモンが興奮してソファから飛び降りてきて、私の後ろをパタパタ尻尾を振りながらくっついてくる。

「いぇーい。いいぞお」

浅薄な冷やかしが飛んできて、まるで安キャバレーのステージに立っているようだった。

といっても、高いキャバレーにも安いキャバレーにも行ったことがないから、わからないけど。

こういう状況を目の当たりにするたびに、希沙良家はお調子者の血筋なのだと思う。

普段はてんでバラバラなのに、調子づくところだけは息がぴったりだ。
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