兄貴がミカエルになるとき
帰りの電車は昼時の時間のせいか、いつもの帰りの社内に比べてがらんと空いていた。
その分、私のでかさと幸っちゃんの容姿が目立った。
ドアの隅に体をもたれかけている幸っちゃんを、車内の学生やサラリーマン、おばさんたちまでが何気にチラ見している。
そして幸ちゃんは私を正面からまじまじと見て「いくら女子高だって、今日の髪のボサボサぶりはすごいね」と呆れた。
「え、そう? 結んでごまかしているつもりなんだけど」
「全然ごまかせてないよ。毛が浮いてるし、毛先もバラバラな方向見てる。ちゃんととかしてないでしょ」
確かにちゃんとはとかしていない。
「綺麗な髪なのにもったいない」
ゴムで束ねた30センチほどの長さの私の髪を、幸ちゃんは持ち上げては手からパラパラ落として弄ぶ。
その分、私のでかさと幸っちゃんの容姿が目立った。
ドアの隅に体をもたれかけている幸っちゃんを、車内の学生やサラリーマン、おばさんたちまでが何気にチラ見している。
そして幸ちゃんは私を正面からまじまじと見て「いくら女子高だって、今日の髪のボサボサぶりはすごいね」と呆れた。
「え、そう? 結んでごまかしているつもりなんだけど」
「全然ごまかせてないよ。毛が浮いてるし、毛先もバラバラな方向見てる。ちゃんととかしてないでしょ」
確かにちゃんとはとかしていない。
「綺麗な髪なのにもったいない」
ゴムで束ねた30センチほどの長さの私の髪を、幸ちゃんは持ち上げては手からパラパラ落として弄ぶ。