兄貴がミカエルになるとき
水着に着替えたトオ兄の背中に大きな傷があるのを見つけた私は、「お兄ちゃんにも傷がある。ママの傷と一緒だね」と言うと、ママは何も答えず、代わりにパパが「昔ね、交通事故で2人とも怪我しちゃったんだよ」と教えてくれた。
「交通事故ってなあに?」
「車の事故のことだよ」
太陽が肌を焦がしていく音がじりじりと聞こえそうなほどの真夏日だった。
セミがウァンウァン鳴く声が、ザザザと砂を引きずる波音にかぶさっていた。
砂浜は素足では飛び上がってしまうほど熱く焼けていて、トオ兄はちょっと足の裏を砂の上に置いてみては「あっつーい」と騒いでいた。
私は「車の事故ってなあに?」と、さらに尋ねた。
「車と車がぶつかっちゃたり、人と車がぶつかっちゃたりするんだ」
「ママとお兄ちゃんは車にぶつかっちゃったの?」
子供はしつこい。
「交通事故ってなあに?」
「車の事故のことだよ」
太陽が肌を焦がしていく音がじりじりと聞こえそうなほどの真夏日だった。
セミがウァンウァン鳴く声が、ザザザと砂を引きずる波音にかぶさっていた。
砂浜は素足では飛び上がってしまうほど熱く焼けていて、トオ兄はちょっと足の裏を砂の上に置いてみては「あっつーい」と騒いでいた。
私は「車の事故ってなあに?」と、さらに尋ねた。
「車と車がぶつかっちゃたり、人と車がぶつかっちゃたりするんだ」
「ママとお兄ちゃんは車にぶつかっちゃったの?」
子供はしつこい。