君想い
うわわわ。


土屋くん?!


何、今の?


とっさに、ぐいっと押す。


すぐさっと離れられたけど
緊張が絶頂に達して顔を隠す。


もう、何が起こったの?


はてなマークばかりが
私の中でぐるぐる回る。


そんなことも知らずに、
土屋くんは、立ち上がり
私を抱きしめた。


ふわっとシャンプーの香りがして
土屋くんの香りがして
やだと思ってしまった。


土屋くんは、嫌いじゃないんだよ。


嫌いじゃないけど、
友達としてとしか考えられなくて
こんな時でも、蒼井のことばっかり
考えちゃって。


また、ドンッと突き放そうとした。


けど、今度はがっちり土屋くんの
腕の中にいるわけで
さすが男子なだけあって
びくともしない。


涙が出そうになった。


自分の気持ちが対立しあって。


土屋くんは、傷つけたくない。


だけど、土屋くんにこんなことされるのは嫌だ。

 
なんてわがまま。


「ごめん、
 ちょっとこのままでいさせて。」


その言葉は震えていて、
鼻をすする音が途切れ途切れ
聞こえてくる。


あぁ。


私、だめだ。


やっぱり、結果的には
傷つけることしかできてない。


ごめんなさい。


ほんとに。

< 37 / 41 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop