白い恋の結晶~キミへと続く足あと~
第5章

キスの理由



「ユキ!! ねぇ、雪羽ってば!!」


文化祭が終わって約2週間。


あのキス事件以来、あたしの魂はどこか遠くに飛んで行ってしまい、ボーッとすることが増えた気がする。


今も、マキと教室でお弁当を食べ終わり大きなため息をついた時に、マキに頭を叩かれ、一気に意識が戻ってきた。


「あ……ごめん。何か話してたっけ?」


あたしが顔を歪めながら聞くと、マキは呆れたように頭を横に振って大きく息を吐いた。


「別に何も話してなかったけど、あんた最近本当にどうしたの? 毎日毎日ボーッとしてさ」


「……あ、うん……」


舞台の上でのキスの事件のことは、まだ誰にも言っていない。


マキが何も言ってこないってことは、あれは誰にも見えてなかったんだと思う。


それがよかったのか悪かったのか……。


親友にでさえも、どう相談したらいいのか、わからないんだ。


ひとりで解決できるほど器用じゃないって、自分が一番よく知ってるのに……。




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