真夜中の魔法使い
「ううん。眠ってたの。でも嫌な夢を見て。」
さすがに「毎晩同じ夢を見る」とは言えなかったけれど。
「ーーそっか。でも、気づいてくれてよかったよ。おかげで今ミユウと話せてるし。」
アキの声を聞いたらなぜか、夢のことを話したくなったんだ。
「あのね。」
「ーーうん?」
「夢の中で、アキが閉じ込められてて・・」
透明な、檻の中にあったのは、輝きを失った瞳だった。
「ーーそっか。怖かった?」
アキは変わらず優しく問いかける。