真夜中の魔法使い
「アキ・・!」
アキがいた。
先ほどまで最悪の事態も想像していただけに、一気に救われた気持ちになった。
肩で息をしていているが、ハルトに支えられながらなんとか自力で立っている。
呪いに勝ってくれたんだ。
「み、ミユウ・・ありがとね」
アキらしくない、掠れた声を聞いたら、じわり、と涙が浮かんできた。
こんなにボロボロになってしまって。でも・・
「よかったっ・・。」
「ぐずぐずしている時間はない。今すぐ行け。」
一瞬安心しきったミユウだったが、ハルトの言葉で自分が置かれた状況を思い出して気を引き締めようとした。
その試みは見事に上手くいかず、涙は次から次へと溢れてくる。
大丈夫だ、ということを示すために、せめてもの意地で目をしっかりと見開いて、そのままハルト、アキの順番で目線を送り、深く頷いた。