真夜中の魔法使い
思っていたよりも早く移動が止まってしまった。
辺りの景色を確認してぞっとする。
背後にまだフレッチャーの屋敷が見えているのだ。
どうやら最初に転移してきた場所に戻ってきてしまったらしい。
「ごめん、アキ。失敗しちゃったみたい・・」
アキも辺りを見回して厳しい表情を浮かべていた。
「ミユウは悪くないよ。仕方ないことだし。僕が手伝えたら問題なかったんだけど・・」
申し訳なさそうにそう言ったアキの笑顔はとても弱々しかった。
2人とも短時間に恐ろしいほどの魔力を使っていて、限界はとっくに超えているのだ。
特にアキは、ネックレスの呪いを破る際に大量に出血したようで、服のあちこちに乾いた血の跡があった。
門の辺りを目を凝らして見ると、人が出てきているようだった。
今はこちらは暗闇と雪に紛れているが、じきに見つかってしまうだろう。
「アキ・・、歩けそう?」
こうなったら、アキを引きずってでも歩いていくしかないと覚悟を決めたその時ー。