真夜中の魔法使い
「チッ・・こいつらが紛らわしいのがいけないんだよ。」
「ハハハッ!いやあこれは傑作だ。」
おじさんは大声で笑いながらカウンターの向こうに行った。
あまりに多くの物が積まれているのですっかり姿が見えなくなってしまっている。
「あれが、アキとハルトのおじ様なんだよね?」
「ああ、そうだが。」
想像していたよりもずっと若々しい男性だったのでミユウは驚いていた。
確かフレッチャー家の現家督、つまりアキとハルトの父親はもう少し上の世代だったはずだ。
ハルトが苦々しい表情なことに気づかないほど、ミユウはすっかり推理モードに入っていた。
この事件の真相、この場所、おじさんの若さの訳、わからないことだらけでかえってミユウの頭は冴え渡り、フル稼働を始めていた。
学者の血筋は侮れないといったところだろうか。
「ほんと、変わったヤツ。」
ハルトが二度目にそう言ったのは、もはやミユウの耳に届いてはいなかった。