いつの間にか恋してた。
「あ!いた!」
「え、どこ?」
あたしは体育館を覗き込む輝星に近づいて隣からあたしも覗き込んだ。
「…」
「ねぇ、どこ?」
急にあたしの顔見て固まる輝星を急かす。
あたしの顔に何か付いてるのかな?
ま、でも今はそんな事関係ない。
今はとりあえずあたし達の列見つけないと!
新学期早々、始業式出てないって先生にバレたら評価下がるじゃん!!
だって今年から受験生だし、ちゃんとしていかないと…
まぁ、ガッキーだし大目に見てくれそうだけど…(笑)
「あ、あぁ…。あの一番奥の列だろ、多分。」
その列の一番後ろには四威がいた。
「あ、ホントだ!!ガッキーもいるし、あの列だよ!きっと!!」
あたしはまだ脛(スネ)を擦ってる明希の腕を掴んでその列に向かって走り出した。
「あ!ありがとね!!」
あたしは輝星の横を通り過ぎるとき、お礼を言った。
笑顔を見せながら―
でも男子に笑顔を向けてしまった事に対して恥ずかしくなって、すぐに顔を背けてまた走り出した。
何、あたし男子に笑顔なんて見せてんのよ…
同じ学年の男子に笑顔むけたことなんて無かったのに…
…でも自然に笑顔になってしまったのだ。
あたしは自分が少し分らなくなった。