あの頃の君へ〜eternal love〜
最後のセリフだけ、わざと小さく呟いて



この声が花火の音に紛れて
さっさと消えてしまえばいいと願った。



でも、彼女には届いていたのかもしれない。



この遠回しな想いが。



『私は…』



『鶴見さんが優しい人だって事
最初からずっと分かってました。』



『厳しい言葉も多いけど、それも
全部愛情の裏返しだって分かってる。』



『全ては”みんなのために“ですよね?』



『ああ。』



だから、どんなに反感を買っても
俺はいつだって“悪者”になれた。



必ず自分を分かってくれる人がいると
信じていたから。



『菜々さん。』



『来年もまたここに来ようね。』



『うん。』



『でも、来年こそは浴衣着て来てね?』



『ハハ、もちろん!』



笑顔で交わしたただの口約束。



指切りはしなかったけれど
彼女となら叶う気がした。
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