【リメイク前】大きな桜の木の下で【完】
よし、ここまで来ればもう怖くない。

曽根くんとはここでさっさとお別れしよう。

「それじゃ」と右手を上げてから小走りになり、まだ話足りないのか何かを言い出す素振りを見せ掛けた曽根くんから離れる。

ごめんね曽根くん。仮にまだ私に用があるのであれば後日お願いします。

背を向けた先の曽根くんが何かを企むように微笑んでいたのを知る由もなく、私はトンネルを抜けて街灯に照らされた路地を駆ける。

これで本当に後日、というか翌日、曽根くんが積極的に接触を試みてきたから笑えないのだが、前述した通り今の私はそれを知らない。
< 14 / 67 >

この作品をシェア

pagetop