【リメイク前】大きな桜の木の下で【完】
いや、朝から厄介な人物に声掛けられてテンション下がってるだけですけど、その表情はもしかして確信犯のつもりなのでしょうか。

ていうか昨日自転車持ってないとか言ってたような。

問えば曽根くんは部活の後輩が駅に停めていた自転車の鍵を壊して勝手に取って乗ってきたとのこと。


「それ、今頃後輩さん困ってるんじゃ……?」

「一年のくせにあんなクソ生意気な童貞野郎のことなんて知ったこっちゃねえよ」


まるで地球は自分を軸にして回っているとも勘違いしてそうな物言いには、つくづく俺様な人だと呆れるしかなかった。

隣にいる友人は曽根くんのファンの一人でもあり、私が彼と親しい仲であることが予想外だったらしく(実際曽根くんからの一方通行で私は親しいと思ってない)かなり驚いている反面、アイドル的存在である曽根くんが傍にいることによる感動に浸っているようだった。

しかし曽根くんはそちらには見向きもせず、ターゲットを私にロックオンするなり「乗れよ」と一言。
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