恋のはじまりは曖昧で

部屋の真ん中にはローテーブルがあり、下にはオレンジのラグを敷いている。
壁際にベッドを置いていて足元にはクローゼットがある。
このクローゼットは結構ボリュームがあるので収納力はバッチリだ。

ベッドの反対側に間隔を空けてチェスト、テレビ、ドレッサーを置いている。
ドレッサーは開閉式で、閉じている時はデスクとしても活用出来る。
ちなみに、デスクとして使ったことは一度もないけど。

全体的に明るい木目の家具で統一していて、部屋は狭いから余計な物は置いていない。
片づけが得意というわけではないので、極力物は買わないように心がけている。

ローテーブルやラグの上に虎太郎が落書きした絵が何枚も散らばっていた。
こんなことになるなら、出かける前にもう少し綺麗に片づけをしておけばよかった。
落書きした紙を拾い集めて、テーブルに置く。
せっかく書いた絵だし、帰るときにお姉ちゃんに渡そうと考えた。

「こーちゃん、なにしてあそぶ?」

虎太郎は田中主任と遊ぶ気満々だ。
そんなことより、帰ってきたらまずやることがあるでしょ。

「コタ、手洗いうがいしようか」

「はーい。こーちゃんもいっしょにてをあらおう」

虎太郎は田中主任の手を引っ張りながら洗面所に向かった。
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