恋のはじまりは曖昧で

虎太郎と手を洗い終えた田中主任が『虎太郎くんと遊んでいるから』と言ってくれたので、お言葉に甘えてキッチンで料理を始めた。

にんじん、じゃがいも、玉ねぎなどのカレーに必要な材料を切る。
鍋に油を入れて肉を炒めた後にさっき切った野菜を投入してさっと炒め、水を加えた。
カレーを煮込んでいる間にハンバーグを作る。

時間がないので、みじん切りした玉ねぎをレンジでチンして、合いびき肉と塩コショウの入ったボウルに入れて混ぜる。
小判型に成形し、フライパンでハンバーグを焼いていたら虎太郎がキッチンにやってきた。

「さあやちゃん、ボクあじみしたい」

椅子を使って食器乾燥機の中から小皿を取り出し、私に差し出してくる。

いつも私が食べているのは甘口のカレー。
それでも、虎太郎にはちょっと辛いかなと思い、リンゴをすりおろしたものを入れている。
お玉で少しカレーをすくい小皿に入れた。

「どう?」

「うん、おいしいよ。はやくたべたいなぁ」

「もうすぐ出来るから待っててね」

よっぽど美味しかったのか、ご丁寧に小皿まで舐めていた。

出来上がったハンバーグをお皿に入れ、フライパンを洗ったあと目玉焼きを作る。
虎太郎はお腹が減りすぎているのか、キッチンをウロウロし始めたので、急いでサラダの準備をした。
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