恋のはじまりは曖昧で
カレー皿にご飯をよそう。
虎太郎用は、お茶碗に少なめのご飯をよそって、お皿にひっくり返すと半円の綺麗な形になった。
ハンバーグの上に目玉焼きをのせ、その周りにカレーをかけた。
我ながら、いい感じのワンプレートに仕上がったと思う。
テーブルの上にお皿を置くと、手を洗ってきた虎太郎が目を輝かせた。
「うわー、おいしそう。もうたべてもいい?」
「いいけど、ちゃんといただきますしてね。あ、田中主任も召し上がってください」
「ありがとう」
虎太郎と田中主任は二人で手を合わせ、いただきますと言ってスプーンでカレーをすくって食べた。
「コタ、野菜もちゃんと食べてね」
「うん。ボク、ミニトマトだいすきなんだ」
レタスやミニトマトが入っている野菜サラダを指さすと、手づかみでドレッシングのかかったミニトマトを頬張る。
その姿が可愛くてニヤけてしまう。
「コタ、手が汚れたらタオルで拭いてね」
濡れタオルをテーブルに置いた。
そんなことより、田中主任が私の作ったご飯を食べているのが不思議な気分だ。
カレーは虎太郎寄りでかなり甘すぎるから大丈夫かなと思い、こっそりと様子を窺った。
普通にスプーンでカレーを口に運んでいるので、食べれないということはなさそうだ。
食べ終わり、二人の美味しいと言う感想にホッとした。
田中主任はおかわりもしてくれて、楽しく食事をすることが出来た。