恋のはじまりは曖昧で
実は、その披露宴には私も声をかけてもらっていた。
きっと、同じ営業部ということで私にも河野課長は気を遣ってくれたんだろう。
でも、私は花嫁さんとは面識はないし、花婿の課長ともそんなに話をしている訳ではない。
だから、新入社員の私が図々しく出席してもいいのか迷って片岡さんや三浦さんたちに相談した。
『出席しなくてもいいから、祝電とかお祝いのプレゼントでも送ったらどう?』というアドバイスをしてくれた。
私は申し訳ないけど欠席させてもらい、後日、お祝いの品を河野課長に渡したんだ。
今日は、披露宴の時の写真を現像したのを橋本さんが持ってきてくれて、それを酒の肴にしていた。
「ねぇ、河野。この写真、机の上に飾ったら?仕事も今まで以上にはかどるんじゃない?」
橋本さんはニヤニヤ笑いながら一枚の写真を見せている。
その写真には、純白のドレスに身を包んだ笑顔の花嫁さんが一人でうつっていた。
さっき見せてもらったけど、すごく可愛らしい人で幸せオーラ全開で微笑んでいて、イケメンの河野課長とお似合いだ。
その河野課長は橋本さん向かってジロリと鋭い視線を投げかけ、チッと舌打ちする。
「飾る訳ないだろ。橋本は余計なことを言うな。この酔っ払い」
「別にまだ酔ってないわよ。何よ、この写真お気に入りなのに」
橋本さんはブツブツ文句を言う。