恋のはじまりは曖昧で

飲み会もお開きになり、二十二時前に解散になった。

居酒屋を出た瞬間、あくびが出た。
そういえば、天気予報は夜から天気は下り坂にって言ってたけど辛うじてまだ雨は降っていない。
傘を持ってきていないので雨が降る前には帰りたい。
それに、眠たくなってきたので早くベッドで寝たいな、なんて思ったり。

二次会に行くメンバーは『どこの店にしようか?』と相談をしている。
みなさん元気があるけど、私はもう無理っぽい。

駅までは、ここから歩いて十分ぐらいかかる。
この時間で帰るなら、まだ余裕で電車はある。
弥生さんも二次会には行かないで帰るって言っていたので、声をかけようとしたら。

「あっ」

足元のフラついた弥生さんの身体を浅村くんが支えた。

「大丈夫っすか?」

「ごめんね、浅村くん。大丈夫だから……」

お酒のせいなのか、少し顔が赤い弥生さん。
口では大丈夫と言いながらも、足取りは覚束ない。
見ている私も心配になるぐらいだ。

「全然大丈夫じゃないっすよ。見ていて危なっかしいです。家、どの辺ですか?俺、送ります」

「いや、ホントに大丈夫だから」

「西野さんの大丈夫は信用できません。現に足元がフラついているし。行きますよ」

そう言って浅村くんは弥生さんの荷物を持ち、とまっていたタクシーに乗り込んだ。
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