恋のはじまりは曖昧で
すると、すぐにメッセージが送られてきた。
【紗彩と男の人が抱き合ってる写メを撮ってた人がいた】
【それ、彼氏じゃないの?】
え、男の人と抱き合っている写メ?
訳の分からないワードに頭の中がパニックだ。
そんなことをした覚えは……。
必死に自分の記憶をたどり寄せる。
あっ!
思い当たるのは先週の金曜日、海斗とラーメンを食べに行った帰りに抱きしめられたこと。
でも、その時はすぐに離れたし、やましいことは何一つない。
一体誰がそんな写メを?
これは詳しく話を聞いてみないといけない。
直接聞いた方が早いと思ったので、電話することにした。
「あの、ちょっと電話かけるので先に戻ります」
弥生さんに断わりを入れ、食堂から出て薫に電話した。
数回のコールのあと、薫が電話に出る。
『もしもし』
「今、大丈夫?」
『うん。それで、さっきの件はどうなのよ』
「ねぇ、その前に写メってどういうこと?」
『私、用事があって広報部に行ったの。その時に先客で経理の人がいて、広報の同期っぽい人と話してるのが聞こえたんだ。何かね、社内報に載っていた営業の女の子が男の人と抱き合ってるのを見て経理の人が思わず写メしたんだって。私、それは紗彩のことだってピンときたんだ。でね、その写メがネタになるかもって』
「なにそれ……」
絶句だ。
どうしてそんなことをするんだろう。