間違いからはじまる


エレベーターを待つ間、肩をぐるぐる回していたら後ろから声をかけられた。



誰かと思えばそこに居たのは神田くんだ。
ニコニコと愛想を振り撒いて本当に綺麗な顔。



「侑李先輩。良かったら飲みに行きません?」



「あー…そうね。どうしよっかな」



「予定ないなら行きましょうよ」



強引過ぎない程度に、だけどしっかりと私に意思を伝えてくる。目の保養にはいいけど、二人で行った事が知れ渡ったら後でどんな仕打ちに合うか分からない。



ここは断った方がよさそうだ。口を開きかけたその時、聞き捨てならない言葉が放たれた。



「この女。酒癖悪いから襲われるぞ」



くるっと後ろを振り返れば都築が腕を組み勝ち誇ったような顔で私達を見ていた。



なにを言ってるんだこの男は。襲ったのはアンタでしょーが!! いや…私だったのか?



記憶が無いだけに言い返す事も出来ないでいたら、神田くんまでもが聞き捨てならない言葉を放った。
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