間違いからはじまる
「別に。俺は襲われたって構いませんよ」
「へー。お前物好きだな」
「俺、侑李先輩にアプローチするつもりでしたから好都合です」
「ちょっと!!私のネタで遊ばないで」
「でもな、神田。片瀬はすでに俺のなんだ」
私の肩に手を回しグイっと自分の方に引き寄せた都築。都築の目は挑発するように神田くんを直視する。
なんでこの男はコトをややこしくしようとしてるんだ?これ以上、私の恥の上塗りはやめて欲しい。
「あの、神田くん。都築の言うことは気にしないで」
「分かってますよ。どうせ合意の上じゃ無いんでしょ。侑李先輩の態度からもそれは見てとれますから俺は諦めません」
きっちり自分の気持ちを伝えた神田くんの視線は、私ではなく都築に注がれている。
あーあ。神田くんは完璧に誤解してるし、話がややこしくなってしまった。
説明しようとした所にエレベーターが到着。都築は私の肩を抱いたまま乗り込み、神田くんにバイバイと手を振り扉を閉じたのだ。