間違いからはじまる


「ちょっと、どういうつもりよ」



颯爽と私の前方を足早に歩いて行く都築に声をかける。しかし立ち止まる雰囲気はなくどんどん離される一方だ。



都築が道端に停車していたタクシーに乗り込もうとした所を一歩手前で捕まえた。ほっとしたのもつかの間、私の腕は都築に掴まれそのままタクシーに押し込められたのだ。



隣に乗り込んだ都築が運転手に行き先を告げらるとタクシーは静かに走り出す。何が起きたか分からずしばらく呆気にとられたが、ハッと我に返った私は都築胸ぐらを思いきりつかんだ。




「都築。いい加減にして」




「おっと。車内乱闘は無しにしようぜ」




「そんなのどうってことない。一体 何処に行くのよ」




「俺の家」



「は?…あんた、頭大丈夫?」



「俺たち、ちゃんと話した方がいいだろ」



そう言って都築は私の手を引き剥がすとギュッと握りしめてきた。必死に抵抗してみるものの都築の力にはかなわず部屋に着くまでその手は離されることは無かった。
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