ヤンデレなら、病んで下さい!
「やだよ、私。彼の負担になりたくなんかない」
「雛……」
そっと私の手を取る紅葉ちゃん。哀れむような目で。
「言っておくけど、シリアスルートには行かせないからね」
「へ!?」
「そもそも、負担になっているって言うのが間違いなのよ。さっきも言ったと思うけど、ヤンデレは世話を焼くのが好き。尽くしたがりで、過剰なほどの庇護欲は愛情の表れ。心配させときなさい、させまくりなさい。そうした後で、『助かりました』『やっぱり私はあなたがいなきゃダメですね』『大好きです』とでも言えば、現実いながら天国にでも行ける気分になるんだからね」
つまりは、私の悩みは全部、独りよがりでしかない、の?
「で、でも、そもそも彼がヤンデレかどうかなんてっ」
と、言ったところで紅葉ちゃんは、確かにと呻いた。
「むう。そうよね、ついヤンデレ好きとして、部屋にカメラ置く発言からそう思ったけど、特番にすれば『束縛が激しい男の実態』とかで組まれそうよね。
オカズもプライバシーもヤンデレとしての理想図でそう思い込んだけど、紫暮さんがそうとはまだ言い切れない、か」
「でしょ!?だ、だから、負担にーー」
最後まで言い切れなかったのは、彼女がランランと目を輝かせたから。
ノートにすらすらと文字を書き。
「ヤンデレなら、病んでもらわなきゃならないわよね!」
かくして、『彼を病ませよう計画』が始まったのだった。