ヤンデレなら、病んで下さい!
(二)
「雛の幼なじみは、面白い人だよね」
午後六時。出迎えてくれた彼は、コーヒーを淹れながら言った。
「雛がよく、その人の話をしたくなるのも分かるよ。話の種になるほど、面白いことしかしていないようだから」
私が座るソファー前に置かれたコーヒーとクッキー。隣に座る彼は、私の耳たぶに触れてきた。
「っっ、し、しぐっ」
「ごめん、つい」
雛の反応がかわいいと、紫暮さんはよく、私の体に触れてくる。外なら手を繋ぐだけでいいけど、二人っきりの時はやけにスキンシップが激しい。
耳から熱を帯びる頬を自覚しつつ、落ち着くためにコーヒーを飲んだ。
喫茶店のものよりも美味しい。
一息つけば、紫暮さんが私の肩に頭を預けた。
もたれかかるように。身長が高いのに、チビな私の肩に合わせるものだから、かなり無理な体勢になっている。
「痛くないんですか」
「んー、腰がきついけど、こうしていたくて。雛は、重くない?」
「だ、大丈夫です」
「重いか」
バレた!
なんで、口にしていないのに。
「顔と声で分かるよ」
苦笑する彼は、私の隣に寄り添うだけとなった。
「重いなら重いってーー嫌なら嫌と言って良いんだよ」
私と同じくコーヒーを飲む彼。
「重いだろ、俺」
「た、確かに重かったですけど、男性なら当たり前です!それに紫暮さんは身長高いし、あ、でも、あんまり重いとは、頭だけで、えっと」
「うん、もういいよ。雛が優しいのは分かっているから。ーーほんと、優しい」
笑われてしまった。それほど、おかしなことを言ったつもりはないんだけど。