ヤンデレなら、病んで下さい!
「これからは、毎日眠られるよ」
「これ、から……」
「雛が隣にいてくれるから。ーー無理やりだけどね」
右手首の手錠に指がなぞられる。
「最初から、こうすれば良かった。雛のやりたいことを尊重したいからこそ、大学に行かせて、一人暮らしも多めに見たけどーー俺と別れたくなるほど寂しかったんだろう」
やっぱり、嘘を信じてしまっている。
弁解する前に、唇を塞がれた。今度は手のひら、聞きたくないとした圧迫が痛い。
彼にとって、私の言葉はもう、聞きたくないものになってしまったのか。
「よくさ、浮気する人の言い訳で『寂しかったから』って言うだろう?雛もきっとそれだよね。寂しくさせたから、他の奴のところに行ったんだろう。
そうに決まっている、他に嫌われる原因ーー俺以外の奴が『良い』だなんて言うはずがない。俺は、雛の理想通りに動いて来たんだから」
私の大好きな人。
優しくて、どんくさい私にイラつきもせず、合わせてくれて、そうしていつも守ってくれたそんなーー
「服装は雛の趣味に合わせた。言葉一つ一つとっても、全部雛が喜ぶことしか言っていない。いつも笑顔を絶やさず、お人好しな雛の写し身のように、俺も誰かに優しく接した。虫酸が走っても、他人に優しく出来た。俺のことを優しい人と見てくれる雛の眼差しが、あんまりにも心地よかったから。
言葉を上手く繋げない、よく噛む君の言いたいことを全て察してきた。その上で君のしたいことが出来るように支えてきたつもりだ。
雛の理想通りであるように。雛を全肯定し、拒絶をしない彼氏として“今までやってきた”のに」
それらは全て間違いだったと、首筋を噛まれた。
痛い、と声をあげる。それでも彼は、違う箇所に噛みついた。血が出るほどじゃないけど、確実に痕が残る痛さだった。
「雛にあんなことを言わせる男になっていたみたいだね」
痕を労るように舌で濡らされた。