ヤンデレなら、病んで下さい!
「嫌われたのなら、逃がさないようにするだけ。俺しかいないとなれば、その内また、愛してくれるよね」
ーーごくん。
大きく上下した喉仏。
私を抱き寄せ、「これでもう、ずっと一緒だ」と耳元で囁く。
オルゴールのような落ち着く音色なのに、どこか暗い曲調を含んだ声は気持ちを焦燥させる。
もう二度と、外には出られない。
誰とも会えず、自由を奪われ、彼を満足させるためだけの人形(モノ)になってしまったことに心臓が早まる。
ーーそう、思う一方で。
「ごめんなさ、い。ごめん、な、さ、ぃ」
「……」
「わ、私のせいで、紫暮さんに、こんな、こ、と、酷いことを、させちゃって、ごめっ……!」
「……」
「わ、私がーー私、も、臆病だから、紫暮さんに嫌われちゃうって、だから、試すようなこと言って、うぅ、ごめんなさい、ごめんなさい、紫暮さんはこんなことーー私の嫌がること、しない人なの、にぃ!」
「……、それが、勘違いなんだよ。現状、君の意思を無視するような真似をして、俺はーー嬉しがっている」
涙を拭く指先。嬉しがっていると言う彼なのだけど。
「悲しませて、ごめんなさい……!」
真逆の顔に左手を添える。
私が泣いて、彼が嬉しがるはずがない。
彼の悲しみで、私が喜ぶことがないように。
「好きです、大好きですっ。紫暮さんがっ、何をされても好きですから、だから
、もう、悲しむようなこと、しないで、くださ、い!」
泣き声と混ざる言葉をどれほど聞き取ってくれたのか分からない。
でも、彼は聞いてくれた。
しっかりと。いつものように、私の言葉を待ってくれて。