ただ、君の隣にいたいだけ
last act 俺と結婚してくれるかな?
次の日、お母さんには二人でデートだと嘘を吐いて少し遠い女医さんのいる産婦人科に行くことにした。私も亮輔さんも道中ずっと、無言。


もし、本当に子どもが出来てたら亮輔さんはどう言うのかな?勝手に判断するなって言ってたけれど産むなとも産んでくれとも言ってくれなかった。でも、私はもし出来てたら産みたい。昨日、やっとそう思うことが出来た。



簡単に出来ることじゃないし、お母さんやお姉ちゃんにも反対されるかもしれない。それでも、産んでこの子と一緒に亮輔さんの夢を応援したい。そう、思えるようになった。


産婦人科にはお腹の大きな人や子供連れの人、まだ妊娠しているのかすら見ただけでは分からない人がたくさんいた。


もちろん、男の人もいて産婦人科は女の人しか来ない場所だと思っていたから少し驚いた。受付で問診票を渡され、亮輔さんとソファに座り込み書き込んでいく。


そこには出産を希望するか、堕胎をするかを選ぶ欄があって私の手はピタリと止まってしまった。
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