ただ、君の隣にいたいだけ
後の言葉は明海に聞こえないようにボソリと呟いた亮輔さん。やだやだ、このノリなら本気で行かされる。


大体、興味もないヒーローショーなんかになんで行かなきゃいけないのよ。ただでさえ毎日、嫌でも聞こえてくるテレビの雑音に耳を塞ぎたいっていうのに。



「あーくん、亮輔くんはダメよ。日曜日は忙しいんだから。ねっ、花菜と二人で行ってきなさい」



「やだー。さんにんがいい。だってはやみくんがパパがばしょとりしてママがならぶっていってたもん」



「ああ。写真会か握手会があるのか。それなら二人で行くとどちらかしか無理だもんな。ちょっと待って。電話してみるから」



「ちょ、ちょっと待ってよ。私だって予定が・・・」



「どうせ、家の中での就活なんでしょ?家の中にいると病むよ。外に出ると意外といいものが見つかるかもしれないよ」



この男、またサラリとそんな嫌味を言ってきた。お母さんなんてもう完全にこの男に洗脳されて頷いてるし、明海も連れてってもらえると大喜び。


本当、この人嫌。私は何も言わずに朝食の準備をして黙って食べることにした。
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