ただ、君の隣にいたいだけ
「ごめんな、必ず月曜は行くよ。心配すんなって」



誰ですか?この人は。


終始喜ぶ明海を軽く交わしながらお母さんの用意してくれていた朝ご飯をお皿に装って食べた後、これ以上何か言われることが嫌で自分の部屋に戻ろうとしたとき、聞こえてきた声。


多分、誰かに電話してるんだろうけど私に話す時の口調とは違う。別にだからどうってことはないけれど使い分けてるんだ。さすがタラシだな。


さっ、タラシが出てくる前に部屋に戻ろうと思った矢先、大きな音を立ててドアが開いた。最悪。



「あっ、花菜ちゃん!日曜日行けることになったから明海と三人で行こう」



私の姿を見つけた瞬間、両手で私の手をギュッと握ってニコニコとそんなことを言う。思わず固まってしまった。タラシ、顔はイケメンだから。


でも、でもやっばりダメだ。一瞬、ほだされかけたけれど行きたくないわ。



「悪いですけど私、行くつもりはないですから。忙しいんですよ」



「そこに出会いがあるかもよ。例えばショッピングセンターでアルバイトを募集してたりとか。ああ、明海もいることだし、たまには外食もいいよね。ショッピングセンターって美味しいものいっぱいあるし」



「な、何を・・・」



「行こっか?花菜ちゃん?」



「・・・はい」



ああーっ頷いてしまった。しかも手、ずっと握られたままだし。



本当にこの人といると調子狂うし、いいように転がされてるな、私。
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