ただ、君の隣にいたいだけ
なんで牛丼屋に来たのにそぼろ丼なんて食べるんだよと激しく亮輔さんから突っ込まれたけれど好きなんだからいいじゃないですかとそぼろ丼を口に含みながら止まらない亮輔さんの話を聞いていた。


どうして、亮輔さんはこんなに仕事の話を私にするんだろうとも思ったけれど聞けば聞くほど自分の知らない未知の仕事に私は興味津々になっていた。



「子どもと直接、触れ合えて尚且つ声優のようなことも出来るのか」



そういや高校時代の友達の律子が大学を決めるときかなりランクを落として周りからかなりいろいろ言われたときに言ってたな。



「だってこの大学なら心理学も好きな英語も両方一緒に学べるんだもの。好きなことが両立できるなんて最高でしょ」



好きなことが両立できるって最高か。いや、無理無理。だって私、実習で失敗したんだもん。ピアノも弾けずに子どもともうまく触れ合えなかった。そんな私がヒーローショーのお姉さんなんて出来るはずがない。


でも、したい仕事も見つからない。結局、少し踏み出したつもりだったけれど何も進んでないんだな。



パソコンの電源を落とし、空っぽになったコーヒー牛乳を入れに行こうと部屋を出ると丁度練習から帰って来た亮輔さんと鉢合わせした。
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