ただ、君の隣にいたいだけ
「花菜ちゃんがまさか覚えてくれてると思わなかった。あっ、そうだ。なんかお腹空いてきたね。お昼にと思ったけど持たせてくれたお弁当今食べちゃおうか」



「そ、そうですね」



意識、してしまう。まさか、あの観覧車の人が亮輔さんだったなんて。でも、なんで覚えてなかったんだろう?それはおろか亮輔さんには最低タラシのイメージしかなかったなんて。


亮輔さんがカバンの中からお弁当とお茶を出してくれた。お母さんってばお弁当を二つ作ってくれたらいいのに運動会みたいなお弁当。


一段目にはおにぎりが敷き詰められていて、二段目には鮮やかな黄色の卵焼きに唐揚げなど。本当にこんな量を二人で食べれるわけないよ。


でも、朝から作ってくれたんだな。一人暮らしをしてわかったんだ。ご飯を作ることが大変な労働だっていうこと。



「わーすげえな、うまそう。いただきまーす」



「あの、亮輔さん。また聞いてもいいですか?」



片手にはおにぎり、もう片方の手には唐揚げを掴んで頬張っている亮輔さんに問いかける。ずっと違和感を感じてたけどそれがなんとなくわかった気がする。



私の中の亮輔さんのイメージが一致しない理由が。



「ん?何?どうした?」



「どうして、話し方が違うんですか?」
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