涙色の空をキミに。








─────────────……








「よし、完成。」








最後の仕上げが終わって、晴れ晴れした気持ちで絵を見る。









日曜日にお母さんと買い物に行った時、無くなってきた絵の具の補充だけかと思ったら新しい色がたくさん詰まっている絵の具のセットまで買ってくれた。








ねだったわけじゃなかったけれど、「これで絵を思う存分描きなさい」って言われたから素直に買ってもらったんだ。









様々な色が追加されたから、絵にも微妙な色の違いとかが表現できて。








「…うん、思ったよりもいい感じ。」










前よりもずっと満足いく絵が描けたかも。










そう思って、自分でも口角が上がるのがわかる。










放課後に1人の美術室は、なんだか久しぶり。









今日は、琉空がたまたま委員会の集まりで呼ばれたから来れないって言っていた。









完成するの楽しみにしてたから悔しがりそう。









琉空が項垂れる姿が想像できて、声に出してちょっと笑う。









どこまでも続く透き通る青空に向かって、








めげずに立ち向かう向日葵。










私のキャンパスの中で堂々と咲いている。











< 113 / 193 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop