涙色の空をキミに。
いい加減お節介って言われちゃいそうだ。
そんなこと思いながら、描き続けていた腕を止める。
「…よし、こんな感じかな。」
下書きがあんまり得意じゃない私は、普段下書きすらしなかったりそこまで丁寧にやるわけでもないから、今回もざっくりとだけ描きとめた。
空を描くのは、前回と変わらないけれど今回のモチーフは、どこまでも空の色を映し出す透き通る海。
うん、空と海。今回の絵はこれにしよう。
そう決めて、いつも通り絵の具を準備した。
美術室の中にある窓際の水道場で水を混んでいると、開いている窓から風が吹き込んでくる。
…見上げると広く続く空が、変わらない青色なのに少しだけ霞んで見えた。
…まだ涙色の空を、私も琉空も見えていない。
せめて、あともう一歩。震える足でも前に進めたら。
それだけで、きっと見えるものは変わると思うんだ。