涙色の空をキミに。
絵を描くのは小さい頃から好きだった。
どんな世界もどんな綺麗な情景も非日常な日々も、何でも表せることができるから。
例え、現実の色が濁ってしまっていてもキャンバスだけには鮮やかな色が広がる。
…その感覚が大好きで、絵を描き続けていた。
「…、水色、」
大体の構想がまとまったところでパレットに絵の具を取り出す。
……こんな綺麗な色が現実にも塗れたなら、今よりもっと世界が素敵に見えるのかな。
そんなこと考えたところで現実に起こるわけがないんだけど。
水を混ぜて濃淡を出したところでキャンバスに色を広げた。
ただ無心に絵を色付けていく。
真っ白なキャンバスがどんどん変わって、鮮やかに映えていく。