願い事叶えます




何故ここに来たのか










そんなのおれが知りたい









「し、知らない」



「ほお…知らない、かあ」



金髪の男はくるんと手の中でナイフを回すとジャックの目の前に突きつけた




「言え」



ジャックは目を見開きそのナイフを見つめた



必死に言葉を探すも口から言葉が出てこなかった





「兄様」




ふと、冷たい女の声が聞こえてきた



ジャックは恐怖を浮かべた瞳のままその声の方を見ようとした、が視線を動かすことは叶わなかった





「おおホシか。んー何でお前この部屋で動けるんだー?」



「私があなたの妹だからですよ。不本意ですけど」




ホシと呼ばれた女はスタスタと歩き、金髪の男が持っているナイフを取り上げた




「兄様。この方動けるようにしてください。

これじゃちゃんとお話できません」



「ホシが言うならいいけどー」



金髪の男がこちらを見た瞬間ジャックの体の自由が戻った





ジャックは起き上がり体に異常がないことを確認した




「こんにちはジャックさん」



ホシがにこっと微笑んだ



ジャックはホシの美しさに暫し見惚れた




「おいこんにちは、はどうしたクジャクくん」



金髪の男が不満そうに口を尖らせながらジャックの頭を叩いた



「兄様!ちょっと黙ってください。っていうかどっかいってください。永遠に」




「ホシ!?兄ちゃんは聞いてはいけないような言葉を聞いたぞ今」



「はあ…わかりました…。後で遊んであげますから今はどっかいってください兄様」



「!!言ったなホシ。兄ちゃんはちゃーんと聞いたぞ。後で!!」




ホシに念をおしながら金髪の男は部屋から出ていった





「ごめんなさい。驚いたでしょう」



「あ、ああ君は…」



「私はホシ。あなたはジャックさんですね」



ジャックは小さく頷いた



「ジャックさんここが何処か分かりますか?」



ジャックは首をふった




「ここは魔法界。魔法使い達が暮らす世界です。


もちろん私も魔女です」




ホシは先ほど金髪の男から奪ったナイフを目の前に掲げた


ジャックはびくっとしたが、次の瞬間には目を疑った



ナイフがまるで溶けるように変形し、うさぎの形になった



さらにそのうさぎはまるで命を吹き込まれたかのように一度ぶるりと震え

ぴょんっと元気よく跳ねた



うさぎはホシの周りをぐるぐるとまわっている



「これが魔法」



「すごい」




ジャックが感心して思わず息を吐くとホシは微笑んだ










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