カメカミ幸福論
「・・・根性ひねくれ過ぎてるぞ、カメ」
「喧しいわエロ神!」
ふん、とヤツが顎を突き出し、今度はハッキリと鼻で笑ったのが判った。
「あのくらいで何をぎゃあぎゃあと・・・誰なんだ、みっともなく号泣した女は?いくら経験がなくてもただの抱擁と性的抱擁の違いくらいムツミでも判るだろう。あれくらいでエロ神などと侮辱されるとは思わなかったなー」
「経験が少なくて悪かったわね!それに、侮辱するならもっとちゃんとやってやるっつーの」
「俺が」
ダンは私のブーイングを生意気にもスルーして薄く笑った。
「・・・本気で女性を攻略しようと思ったら、ただ抱きしめるだけなんてことはない」
―――――――あ?
私は目を瞬いた。
ダンは綺麗な顔にうっとりするような色気を出して、ニッコリと笑う。
「天上には女神だってたくさんいるんだ。いい異性は人間だろうが亀だろうが神だろうが競争率は高い。俺は今まで自分の狙った相手を落とさなかったことなどない」
「・・・へー」
「相手を幸せな気分にすることなどお手のものだ。ハッキリ言うが、俺はその点自信がある」
「・・・ほー」
「だから、ムツミを意識して抱く時はあんなものじゃなくて―――――――」
「・・・」