エタニティ
昔の彼は優しいけれど口数が多い方ではなくて、何処か不器用な男の子だったのに。

そんなことを思って、はたと気づく。

高校を卒業してから、干支が一回り以上しているのだ。

変わらない方がおかしい。


私だってこの年になれば、社交辞令には大人の対応が出来る様になるってもので。

「……まぁ、ありがと」

サラリとはいかないまでも、その褒め言葉を受け流した。


そして今までの時間を埋めるべく、葉山君と語り合う。

彼は商社に勤めているらしく、数年前にあった同窓会の後、今年の春までニューヨークへ転勤していたそうだ。

企業戦士なんて古臭い言葉を思い描いてしまうほど、彼の横顔は精悍さを増していた。


昔も沢山、こうやって話したなぁ。

主に彼が聞き役だったのだけれど。

放課後の教室で、部活のことや進路のこと。

好きな映画や音楽のこと。

ただ葉山君と、とりとめのない話しをする時間が楽しくて……若かった私。


「ミチ、相変わらずだな。さっきもぼんやりして、突っ込まれてたもんな」

いつの間にか、私が会話を止めていたようだ。

葉山君は苦笑交じりに、肘で私の腕を突く。

「ゴメン。なんかここの空気が懐かしすぎて、つい色々思い出しちゃって」

「もう少しで、この店は終わりの時間らしいよ。2次会行く?」

「そんな時間なんだ」

時計を見ると、21時を少し過ぎていた。
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