素顔のキスは残業後に
自分でも理解不能な感情に、「あははーっ」と声高らかに笑い声をあげると、



「エントランスに不審者発見」


そんな機械的な声にハッと我に返った。慌てて後ろを振り返ると誰もいない。

それもそのはずで――



「なに一人で笑ってんだよ。この不審者」


聞き慣れた意地悪な声と呆れきった顔がモニター画面に映し出されていた。


抑えたはずの声。
またしても漏れ聞こえていたんだね…

恥ずかしさに消えたくなると、



「怪しさ満点だから、さっさと入れば?」


馬鹿にするように笑った柏原さんの声で扉が開かれた。
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