素顔のキスは残業後に
さっき頂いた舌触りを思い出しながら答える。

ホッとしたように頬を緩めた彼にある予感が頭を過って、
堪えきれずにお饅頭を持つ指先が震え出した。


「なんだよ、その顔」


「えっ、いやぁーそんなに気にするなんて。つぶあんが食べられないのかなーって」


らしくなく、かわいいなぁ。

なんて言葉は向けられる鋭い眼差しに肩がすくんで、喉の奥に消えていく。


でもね。申し訳ないけど、弱みを握れた気分なんですよ?


初めて知った彼の一面に、ふふっと口元が緩んでしまう。
< 167 / 452 >

この作品をシェア

pagetop