素顔のキスは残業後に
さも当然のように言ってのけた彼は、唇の端を引き上げた意地悪な笑みを浮かべる。


うわぁ。なんて、可愛いげがないのさっ。
確か前にも、『性格も可愛い』とか、とんでも発言してましたけど?


いまさらながら、どの口が言ってんだとツッコンでやりたい。


鞄からピンク地の傘を取り出して、なんて言い返してやろうかと軽く睨みつける。


いつも言い負かされてばかりだと、たまには意地だって張りたくもなる。
そんな静かな対抗心を燃やしていると、手の中にある傘をスッと取り上げられた。


「ピンクの花柄かよ。まっ、ないよりマシだけど」


柏原さんはボソッと呟いて眉間に皺を寄せる。


< 189 / 452 >

この作品をシェア

pagetop