素顔のキスは残業後に
無理矢理話を流した由梨さんがひどく儚げに見えて、

それから何度か話を振ろうとしたけど、結局彼女の本音を聞き出すことはできなかった。


知られなくない想いだってあるはずなのに、やっぱりおせっかいが過ぎたのかもしれない。

反省のため息を吐き出すのは、もう何回目だろう。


そんな風に数日前にトリップしていた私の思考を引き戻してくれたのは、

「やばっ」という五月さんの声だった。


「おっと。そんなわけで、もう行くね。

あっ、柊司だけど。もしかしたら宣伝部のサボりスポットにいるかもしれない」


「あっ。それなら知ってます。ちょっと寄ってみますね」


私からっていうより、早く教えてあげたいし。
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