素顔のキスは残業後に
由梨さんの気持ちが落ち着くまで待とうと思った。

だけど――……


「柏原さんは、納得してくれたんですか?」


堪えきれず聞いてしまった私の言葉に、彼女はかすかに首を振る。


「年上の元カレと寄りを戻したって、嘘をついたの」


「どうして、そんなっ……」



身を切られるような想いに駆られ、口調が少し強くなってしまった。


口元を指で押さえ付けた私に、

由梨さんは微かな笑みを浮かべる。

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