素顔のキスは残業後に
満足そうに細まる瞳から逃れるように視線を逸らすと、頬に手を添えられて、


「俺も、やめられそうもない」


甘い囁きを漏らした唇と触れるだけのキスを重ねる。


試すような意地悪をされたかと思えば、こうやって優しくフォローもしてくれる。

自由自在に転がされるのも、悪くないかも。


素肌を滑り出す指先からの甘い刺激に身を委ねながら、そんな風に思い直していると、


ベッド脇に置かれたサイドテーブルから微かな振動音が漏れ響く。


「早く出ろよ」とばかり鳴り響くそれは柏原さんのスマホで、彼もその音に絶対気づいているはずなのに。

完全無視を決め込んでいるから――……


「あのっ。出た方がいいんじゃぁ」



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